1.ワダツミの木
作詞:上田現
作曲:上田現
赤く錆びた月の夜に
小さな船をうかべましょう
うすい透明な風は
二人を遠く遠くに流しました
どこまでもまっすぐに進んで
同じ所をぐるぐる廻って
星もない暗闇で
さまよう二人がうたう歌
波よ、もし、聞こえるなら
少し、今声をひそめて
私の足が海の底を捉えて砂にふれたころ
長い髪は枝となって
やがて大きな花をつけました
ここにいるよ、あなたが迷わぬように
ここにいるよ、あなたが探さぬよう
星に花は照らされて
伸びゆく木は水の上
波よ、もし、聞こえるなら
少し、今声をひそめて
優しく揺れた水面に
映る赤い花の島
波よ、もし、聞こえるなら
少し、今声をひそめて
2.幻の月
作詞:オカモトサダヨシ
作曲:オカモトサダヨシ
あかいくだものを
がりりと噛みました
濡れたくちびるが
ぬらぬらと光ります
柔らかい布で 体を拭きました
こぼれる雫は
誰の涙でしょうか
幻の月の影を
ぼんやりと眺めています
あらがえぬこの想いに
心はくすぶります
雨が降るまえの
匂いを嗅ぎました
気付かれぬ花が
ひとりで咲いています
咽喉に流れる 水のつめたさ
なだらかな坂の上を
カラカラと歩いています
乾かない髪のままで
何かを冷ますように
幻の月の影が
どこまでもついてきます
鎮まらぬこの想いに
心もあかくなるのです
3.夜に詠める うた
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